クラウドの衝撃

カテゴリ:

今更ですが、クラウドがブームです。
今日は、FF7のクラウドではなく、ITのクラウド・コンピューティングです。
NRIの城田真琴氏が著した「クラウドの衝撃」を読みました。

以下、感想。

 2008年秋現在の最新情報を盛り込み、クラウドについての言葉の定義、歴史、プレーヤー、現状及び今後の展望がよくまとめられている。ITの専門用語が多いのは否めないので、ITエンジニアかIT企業の経営層が読者ターゲットとなるだろう。

 Salesfoce.com の SaaS が先行しているクラウドだが、今後のトレンドは Google App Engine を提供する Google による PaaS、Amazon EC2 を提供する Amazon の HaaS になっていくと著者は予想する。クラウドのサービスプロバイダは巨大かつエコを徹底したデータセンターを構築し、スケールメリットを最大限に活かして安価で信頼性の高いシステム基盤を短期間で提供する。そこで活躍するプレーヤーは、先発のAmazon、Google、Salesfoce.com などのネット企業を後発のIBM、HP、MicrosoftなどのIT業界の巨人が圧倒的な資金を元に追う展開となっていく。今後、乱立するクラウドのプロバイダは淘汰されていき、最終的に Sun Microsystems のCTO である Greg Papadopoulos が述べたとおり、「世界にコンピュータは5つ(Google,Microsoft,Yahoo,Amazon,eBay,Salesfoce.com)あれば足りる」という世界が現実味を帯びてくるであろう。もちろん、これからこの5つ(6つ)の座を争う熾烈な戦いが繰り広げられていくことになる。

 著者は、クラウドの適用性をコア・コンテクスト(差別化の観点)及びミッションクリティカル・非ミッションクリティカル(リスクの観点)で4事象に分け、

 コア・ミッションクリティカル     :自社開発(クラウドに頼らない or プライベートクラウド)
 コンテクスト・ミッションクリティカル :SaaS
 コア・非ミッションクリティカル    :PaaS、HaaS
 コンテクスト・非ミッションクリティカル:SaaS

という分類をしている。

 コア・ミッションクリティカルの業務は、セキュリティ、信頼性(SLA)、データ秘匿性、障害時の対応などを考慮すると、当面クラウドへの移行は不可能と言えるだろう。日本の大手のシステムインテグレータは、今後、この自社開発のパイを争うことになり、中小のシステムインテグレータは PaaS におけるサービス開発、SaaSのカスタマイズなどを担うようになっていくと著者は予想する。システムインテグレータに身を置く私としては、今後のクラウドの展望についてはいろいろ考えさせられた。

 その他、ベンダビジネス、データセンター、ホスティングサービス、PC、Webブラウザなどあらゆる分野に波及し、まさに破壊的イノベーターとなり、パラダイムシフトを呼び起こすと述べている。それほどクラウドの衝撃は大きいということだ。

 もちろん、Gmailが止まったり、Amazon S3 で障害が発生したりして SLA が守られていない現状はある。しかし、過去の歴史において、大きなパラダイムシフトが起きるときの初めの一歩はいつもこんなものであった。このクラウドが成熟したときに世界はどのように変わっているか非常に楽しみでもある。

 特にIT業界に身を置く我々としては、今後のクラウドの展開を注意深く見守っていくことが肝要である。本書は、まだ足下が暗い夜明けのクラウドのよきガイドとなってくれるであろう。

Twitter

購読

New Comment

Tag Cloud

広告

広告

Calendar